こんにちは、元銀行員のマロです。
今回は、金・プラチナの買い方、売り方を、初めての方にもわかりやすく説明させていただきます(先物取引等はここでは除きます)。
インターネットで「金への投資や買い方」を検索すると、初心者向きなサイトがとても少ないと感じたので、金・プラチナを初めて投資してみたい人向けに記事を書こうと思いました。
よって専門的な難しい話はできるだけしないようにしています。
金やプラチナを買いたいのだけれど、どうやって買っていいかわからない、また買う際に何が必要かわからないなど、基本的なことを中心に説明致します。
目次をご覧いただき、読みたいところからお気軽に読んでいただけると嬉しいです。
もくじ
【完全初心者向け】金・プラチナ投資の始め方
そもそもみなさんが「金」や「プラチナ」投資に興味を持たれたのは何故でしょうか?
銀行預金の金利が安くて利息は期待できない。
株、投資信託、FX等は抵抗があるので、比較的安全とされている金投資に興味を持った。
自分が貯金しているお金の価値が将来減ってしまいそうで心配。
金やプラチナは有事に強いと言われているから。
金やプラチナの「現物」の価値はゼロにはならないし、なにより綺麗で美しいので手元に置いておきたい。
このような理由の方が多いのではないでしょうか。
その上、若い世代の方は特にそうですが、これからは「年金」に頼れない時代が来そうです。そうなると老後が不安ですよね。
老後に備えて預貯金や株式・債権、個人年金などで準備をする方法もありますが、それだけでは決して十分とはいえません。
銀行預金や株式・債権、保険、不動産、金などで資産を分割すると、リスクを分散することができます。
例えば、投資している企業が破綻した場合、株は限りなくその価値を失う可能性があります。
しかし、「金」は実物資産で、その物自体に「価値」があるため、価値がゼロになることはなく、他の資産の目減りを補てんするケースもあります。
一般的に金融資産のうち「金」を10%持つことが理想的なバランスとされています。
日本では1980年から2018年まで、年平均1.2%ずつ物価が上がっています※。
40年近くも物価が上昇しているにもかかわらず、今お金を銀行に預けても利息はほぼゼロで物価上昇分に追いつきません。
結果、「お金の価値」自体は相対的に下がっている、つまり目減りしていると考えられます。
※出典元:総務省統計局 小売物価統計調査
30年前は100万円あれば買えた軽自動車が、今は倍近い値段の車も多くあります。車の技術的な性能の向上もありますが、単純に昔と比較して車の値段は値上がりしているといえます。
値上り傾向は、食料品や衣類など生活用品の多品目にも当てはまります。結果、お金の価値が目減りしているといえます。
2024年8月14日現在、金1kgバーは、田中貴金属工業の価格で12,888,000円で買えるわけですが、10年前と比較してもだいぶ価格が上昇した印象です。各社のチャート表をご覧いただけるとわかりやすいと思います。
今後金価格はどうなるのでしょうか?
金は「有事の金」といわれ、国際的な政治や経済が不安定になると金価格は上昇傾向になります。
それゆえ、今後不安定要素が増えそうな世界情勢の中で、金の存在感ははますます大きくなってきそうです。
その上、最近は戦争や自然災害も含め昔では想像もできなかったことが現実になることが多々あります。
2024年8月現在、悲しいことにロシアとウクライナ、イスラエルとハマス、その他世界各地で紛争が起きています。このようなことが現実に起きるとは多くの人が予想していなかったのではないでしょうか。
そのような不測の事態に備え、自分自身でリスクマネジメントを図る必要が出てきました。
これからますます大変な時代になりそうですが、明るい未来を見据えて、自分自身で資産形成を考えていきましょう!
以上のような観点を持ちつつ、これから金投資を考えていきたいと思います。
それでは、最初に「金」の投資意義について説明していきます。
金投資を始める意義【メリット・デメリット】
まず、はじめに金投資の「メリット」と「デメリット」を簡単にまとめてみました。
メリット
金(地金 / 金貨)自体の現物があるため、その価値が下がっても(株式等のペーパーアセットと異なり)限りなくゼロになることはない。
金は歴史的にみても、時代を超えて「希少性」という「価値」を認められてきた過去がある。
有事に強い。紛争時やテロなどで地政学的リスクが高まると金は値上がり傾向になります。逆に株や債権は下落傾向になるので、金を持つことで他の投資商品の補てんができることがあります。
金自体の管理(保管)の負担は少なく、また換金性も高い。
固定資産税などと違って、所有することでの税金はかからない。
デメリット
金は利息も配当も生まない。
現物の管理(保管)を適切にしないと盗難のリスクがある。
相場商品のため、将来的にその価値が購入金額を下回る(元本割れの)リスクがある。
他にも投資理由はたくさんあるとは思いますが、上記メリット、デメリットを理解した上で、次に金の買い方、売り方を説明させていただきます。
金の買い方、売り方
当サイトでは、私自身が現在も取引をしている田中貴金属工業株式会社の取引を参照例とさせていただきます。
まず「金」の商品としては、次の3つの商品があります。
金地金(バー)
金貨(メープルリーフ金貨、ウィーン金貨ハーモニー)
純金積立
※「純金積立」につきましては、こちらのページで詳しく説明しています。
それでは、金地金(バー)から買い方、売り方を簡単に説明します。
ちなみに、本日の田中貴金属の金、プラチナ相場はこちらをご参照ください。
金地金(バー)の買い方
ポイント
購入価格=当日の小売価格 × グラム +売買手数料
の計算式で購入することができます。簡単ですね。
購入手数料の詳細は、以下の通りです。
金・プラチナ地金の購入時別途手数料(税込)
・購入(小売)の場合
金地金の種類 | プラチナ地金の種類 | 地金1個当たりの別途手数料(税込) |
500g・1kg | 500g | 不要 |
100g・200g・300g | 100g | 16,500円 |
50g | - | 8,800円 |
5g・10g・20g | 5g・10g | 4,400円 |
注意点は、「1個」地金を買うごとに手数料がかかるという点です。
・売買手数料は購入する地金のグラムによります。(1個ごと)
・500g以上のバーになると手数料は不要(0円)です。
簡単な金地金購入例をひとつあげてみます
300gの金地金を買う
例として、金の小売価格が5,000円/gと仮定します。
計算式が
購入価格=当日の小売価格 × グラム +売買手数料 なので、
購入価格=5,000円 × 300g + 16,500円
合計1,516,500円で300gの金を購入できます。
なお、地金と金貨の購入時は「現金」で、基本的に本人確認書類が必要となります。
金地金(バー)の売り方
ポイント
買取価格=当日の買取価格 × グラム − 売買手数料
で売却することができます。こちらも簡単ですね。
売却手数料の詳細は、以下の通りです。
金・プラチナ地金の売却時別途手数料(税込)
・売却(買取)の場合
1件当たりの買取の場合 | 買取1件当たりの別途手数料 |
500g以上 | 不要 |
100g以上~500g未満 | 16,500円 |
50g以上~100g未満 | 8,800円 |
20g以上~50g未満 | 4,400円 |
20g未満 | 2,200円 |
注意点は、地金を買うときに「1個」ずつ手数料が足されるのと違い、買取時は「地金の合計重量」で1回だけ(1件ごと)手数料が引かれるという点です。
例えば、金地金300gを1本だけ売るときの手数料は16,500円で、300gと200gを同時に売れば合計500gになりますので無料になります。
・売買手数料は売却する地金の合計※のグラムによります。
・買い取る地金の合計が500g以上になると手数料は不要(0円)です。
※ 金とプラチナはグラム重量を合算できません
簡単な金地金売却例をひとつあげてみます
300gの金地金を売る
例として、金の買取価格が4,000円/gと仮定します。
計算式が
買取価格=当日の買取価格 × グラム − 売買手数料 なので、
買取価格=4,000円 × 300g − 16,500円
合計1,183,500円で300gの金を売却できます。
なお、地金と金貨の売却時は基本的に本人確認書類とマイナンバー(下記参照)が必要となることがあります。
また、地金と金貨の売却金の受取方法(現金または振込等)は、あらかじめ取引店に確認しておきましょう。
次にプラチナの買い方、売り方です。
プラチナ地金(バー)の買い方、売り方
「プラチナ」の商品としては、次の3つの商品があります。
基本的に「プラチナ地金」の買い方、売り方の計算方法は「金」の計算方法と一緒です。
ポイント
購入価格=当日の小売価格 × グラム +売買手数料
買取価格=当日の買取価格 × グラム − 売買手数料
田中貴金属のプラチナ地金は、500g、100g、10g、5gの4種類で金より種類が少なくなります。
次に、プラチナの特徴をいくつか書いていておきます。
参考
・プラチナは、宝飾品にも使われますが、「自動車の触媒」に約41%も使われていますので、自動車業界の今後の動向に注目です。
・有史以来の採掘量も「金」の1/26の量しかありません。よって希少性という意味では金より上です。
・プラチナは地球上では作れません。遠い昔に隕石によってもたらされたという説もあります。
・南アフリカ、ロシア、北米の限られた場所が採掘量のほとんどを占めています。
プラチナは在庫量が少なく希少性があるため、市場規模も金より小さくなります。
また、世界情勢の影響を受けやすく、金に比べて価格が大きく変動することがあるのが特徴です。
次に地金を購入したことがない方はご存知ないかもしれない「スプレッド」について説明しておきます。
スプレッドについて
金・プラチナ取引の際に、あらかじめ知っておいてほしいことがひとつあります。
それは「スプレッド」というものです。
「スプレッド」とは、金やプラチナの小売価格と買取価格の「差額」のことです。
2024年8月14日現在の田中貴金属工業のスプレッドは、以下になっています。
銘柄 | スプレッド |
金 | 136円 (小売:12,888円/g、 買取12,752円/g) |
プラチナ | 175円 (小売:5,003円/g、 買取4,828円/g) |
金の場合で例えると、1gの金を購入して(あまりないとは思いますが)同じ日にその1gを売ると単純にグラムあたり136円損をしてしまいます。
考え方としては、買取価格(売るときの金額)が小売価格(買った時の金額)を上回らないといわゆる「もうけ」は出てきません※。
※この例では「売買手数料」は無視しています。
注意ポイント
「スプレッド」はそれほど頻繁に変化しないようですが、できるだけ注視してください。
次は、バーやコインを売買する際に必要になる書類です。
取引時に必要な書類と本人確認書類
基本的に、金やプラチナを売ったり買ったりする際には、本人確認書類の提示が必要になります。
取引する会社によっては本人確認書類のコピーが必要になる場合があります。
また、個人売却の際に「200 万円を超える取引」に関してはマイナンバー確認書類が必要になります。
取引時に必要な書類一覧
200万円以下の(現金)取引 | 200万円超の(現金)取引 | ||
個人取引 | 地金・コイン の購入 |
不要 | 本人確認書類 |
地金・コイン の売却 |
本人確認書類 | 本人確認書類 マイナンバー確認書類 |
|
法人取引 | 地金・コイン の購入 |
不要 | 本人確認書類 登記事項証明書または 印鑑証明書 |
地金・コイン の売却 |
本人確認書類 登記事項証明書または 印鑑証明書 |
本人確認書類 登記事項証明書または 印鑑証明書 |
※「本人確認書類」は下記の「A」「B」の区別があるので、ご注意ください。
※ 必要な書類は、各社によって違うので、あらかじめお問い合わせください。
本人確認書類
分類 | 書類(原本) | 条件 | |
A | 1点で 本人確認が できるもの |
個人番号カード、運転免許証 運転経歴証明書、旅券(住所有り) 住民基本台帳カード等 |
名前・住所・生年月日・ 顔写真の記載があること。 提示時に有効であること。 |
B | 2点で 本人確認が できるもの |
国民健康保険証、健康保険証 介護保険被保険者証 国家公務員共済組合員証 年金手帳、母子健康手帳等 |
名前・住所・生年月日の 記載があること。 提示時に有効であること。 |
※「本人確認書類」は上記以外にも種類がございます。詳しくはこちらをご参照ください。
なお1回の売却取引(個人)で200万円を超える場合は支払調書の提出対象取引となります。
支払調書につきましては、最後の章でご説明させていただきます。
次に金貨とプラチナコインの買い方です。
金貨とプラチナコインの買い方、売り方
現在、田中貴金属工業で販売している金貨は、以下の2種類です。
・ウィーン金貨ハーモニー
・メイプルリーフ金貨
重さは、それぞれ1oz、1/2oz、1/4oz、1/10ozの4種類があります。
※1oz(オンス)=31.1035g
どちらも品位は99.99%で純金製です。
大きと厚みはウィーン金貨とメイプル金貨で少しだけ違います。
金貨の売買価格については、田中貴金属の場合、この金額以外に何もかかりませんという金額が発表されますのでこちらをご参照ください。
金貨は売り買いの金額がはっきり出ているのでわかりやすいですよね。
なお、世の中にはたくさんの種類の金貨やプラチナコインがあふれています。それが一律に決まった値段で売買できるとは限らないのでご注意ください。
次に、田中貴金属工業で販売しているプラチナコインは、以下の3種類です。
・プラチナウィーンコインハーモニー
・プラチナメイプルリーフコイン
・プラチナイーグルコイン
重さは、それぞれ1oz、1/2oz、1/4oz、1/10ozの4種類があります。
※プラチナウィーンコインハーモニーは1/2oz、1/4oz、1/10ozはありません。
※1oz(オンス)=31.1035g
どれも品位は99.95%で純プラチナ製です。
大きと厚みは種類によって少しだけ違います。
プラチナコインの売買価格についてはこちらをご参照ください。
なお、プラチナコインには、「プレミアム付」と「プレミアム無し」の区別があります(買取価格が違う)のでご注意ください。
※「プレミアム」はコインの製造コスト等のことで、その分がプラチナ地金代金に上乗せされているので購入時は若干割高になります。また、コインが傷付いたり曲がったりした場合は、「プレミアム無し」の価格で(買取が)安くなることがあります。また、プレミアムの有無は、お店によって変わりますのでご確認ください。
以上、少し長くなりましたが、金・プラチナ投資の始め方を説明させていただきました。
基本的には、金もプラチナも「現金」と「本人確認書類(売却は一部マイナンバー必要)」さえあれば購入したり売却したりできます。簡単ですね。
次は、補足になりますが、「税金」と「支払調書制度」の説明をさせていただきます。
「税金」と「支払調書制度」について
ここは、みなさん気になるところではないかと思います。
まず初めに「税金」について説明します。
個人で金やプラチナを売って利益を得た場合、通常「譲渡所得」とみなされ、年間で50万円の特別控除があります。
「譲渡所得」では、売った地金の売却益とその他の該当する譲渡益を合わせた金額から50万円を引いた分が課税対象(短期譲渡所得)になります。
また、保有していた地金が5年を超える場合は、その課税対象を半分にして計算することができます(長期譲渡所得)。
最終的には、「譲渡所得」は他の給与所得などと合算して総合課税の対象となります。
簡単に表しますと、次の計算式で表せます。
譲渡所得の計算式
短期譲渡所得(購入後、5年以内で売却した場合)
(地金の売却益 + その他の該当する譲渡益) − 50万円
長期譲渡所得(保有期間が5年超)
{(地金の売却益 + その他の該当する譲渡益) − 50万円 }× 1 / 2
税金の最終的な金額は個人によって違ってくるので、詳細は税理士さんや税務署にお問い合わせください。
次に「支払調書制度」について説明します。
支払調書制度は、2012年1月より導入された制度です。
支払調書制度
個人が金・プラチナなどを売却する際、1回の売却で200万円(※)を超える場合は、お買取した事業者に、そのお取引の内容を「支払調書」という書名に記載して所轄の税務署へ提出することが義務付けられました。※手数料等を差し引く前の金額。
簡単に言いますと、個人が地金やコインなどを売却し、その金額が200万円を超えたら(儲けが出ていても出ていなくても)買取事業者が税務署に、以下の内容を提出するものです。
・売却者名
・住所
・取引内容(貴金属の種類、数量、重量、支払金額、取引日)
・マイナンバー(2016年1月より)
ちなみに、支払調書の対象となる貴金属は、金地金、プラチナ地金、及び金貨、プラチナコインで、銀地金、パラジウム地金や貴金属ジュエリー・工芸品などの売却に関しては対象外となります。
最後に、金・プラチナ投資の魅力
最後に、
金やプラチナはその現物がとても重厚感があって美しく、眺めているだけでも楽しめます。
そして私の経験上、金やプラチナの売買は、決して難しいものではなく、気軽に売買できるものです。
他の投資商品と比べても、リスクはかなり小さいと思います。
今、少しでも興味があるようでしたら、ぜひ老後対策の選択肢のひとつ、資産形成のひとつとして考えてみてくださいね。
「純金積立」にご興味がある方は、こちらで説明していますのでご一読ください。
この記事が、みなさんの今後の生活の一助になれば幸いです。
以下の点だけご承知おきくださいませ。
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